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平成28年 第6回 定時総会

平成28年3月5日土曜日、今年もまた北鎌倉の東慶寺で神奈川官休会の総会が開かれました。

昨年は、朝のうち少し雨が残り肌寒い一日でしたが、今年は、お天気にも恵まれ穏やかな日和となりました。

かつて江戸時代、理不尽な夫の仕打ちに堪え兼ねた女たちが駆上ったという、東慶寺の山門に続く階段は、意外に小さく、でも急な石段。それを登って ふと目を上げると、山を背景にした境内が広がりました。

お庭は木々や草花が、自然のままの美しさに、手入れが行き届いています。昨年は、まだまだ寒かったせいか満開だった梅が、今年は散り始めていて、次の季節の到来を静かに匂わせていました。

さて、十時半の受付から、呈茶席が三席、その後十三時より総会、続いて懇親会。そこからさらに、講演会も…と今年も昨年同様盛りだくさんな半日です。

私は、呈茶席第一席目に入れて頂きました。

寄付きから蹲踞まで打水のされた緩やかに下る石段は清々しく、また、苔の美しさにも心づくしを感じながら席入りをいたしました。

 

今年の呈茶席は小林徹信先生が担当です。

「春」と、「雛祭り」。そんな取り合わせのお席は、先生のお人柄にも似て、やさしくどこか可愛らしい雰囲気の道具組。

床の間には有隣斎筆の自画賛。そこに描かれた鯛の画は、一筆で描かれたような優しい筆遣い。気持ちがポッと和みました。

香合には青磁の桃。

直斎好みの梅棚は青漆の旅箪笥の様。摘みの金具が梅の花の形をしているのがまるで紋付のようで、その塗りの感じと相まって品のいいお棚に思えました。

「この棚には『二本松蒔絵茶桶』と『染付雲堂手』の取合せが決まり事な上に、使う季節が限られるのだから大変ですね」と、ご亭主とお正客の間でお話しが盛上がりました。

 

お釜は天明平筋釜。小振なところも、雛遊びを思いました。

柳と桃の書かれた、少し大きめのお弁当箱のような宗哲の曲物の菓子器の蓋を取ると、ピンクの求肥で黄身餡をくるんだお菓子が現れました。銘は花衣。製は赤坂塩野。これには、「春」と「雛祭り」がそのまま詰まっているようでした。

続く総会も、滞りなく終わりました。

それにしても、前回50余名だった参加者が、今年は69名にも増えたとのこと。こうして輪が広がっていく事は嬉しいことです。

 

懇親会は今年も、東慶寺向い側にある「鉢の木」製のお弁当を、皆で頂きました。

お腹もいっぱいになり、座も和んだところで、楽しみな講演会です。今回のテーマは「漆」。講師は本間幸夫さん。

本間さんは、日本古来からの伝統文化である漆を後世に遺そうと、漆の木の栽培から工芸作品の創作まですべての技芸を継ぐ漆工房を創設し、活動してらっしゃる方です。

知らない事ばかりのお話でした。特に、15年もかかって一人前の木になった漆の木が、一年間漆を採ったら、伐採されてしまうと聞いて、それには驚きました。

伝統文化を守り、伝え、発展させていくということはこの茶道にも通じる事かと思うと、その末端にいる自分にとっても他人ごとでない思いがしました。

 

あっという間に過ぎた半日でした。

来年もまた、同じように、神奈川官休会のみなさまと元気にお目にかかれることを楽しみに、東慶寺のちょっぴり急な階段を、お仲間たちとワイワイ言いながら降りて帰って参りました。

この日もまた、多く方たちに感謝の一日でした。

                          

鎌倉扇美会

                               升本 守由

講師の本間幸夫先生
鉢の木調製
           (平成28年度 役 員)

   会 長  青木恵美子

   副会長  中西健治

   顧 問  赤羽根守一、安食守康、田代守玲、徳川田鶴子

   代表幹事 相川宗範
 
   会 計  相川宗範

   会計監査 井上米輝子

   幹 事  朝戸守博、小林徹信、本阿彌守光、升本守由
        三浦大徹、

   委 員  安食弘美、池田愛子、岩本弥生、内田守凡、大川淳生
        杉村由香、丹野弘毅、中村かをる、中澤薫、藤井映子
        三浦まりか、渡辺葉津子
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